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  珍しい古都の風物詩

◆珍しい楼門のある渉成園◆
 風変わりな楼門に驚いた。こんな造りは恐らく他にはないだろう。これは真宗大谷派(東本願寺)の飛地境内地で、周囲に枳穀(からたち)が植えてあったことから枳穀邸(きこくてい)とも呼ばれており、その中に異彩を放つのがこの楼門である。この庭園は平安時代初期、嵯峨天皇の王子・左大臣源融(みなもとのとおる)の遺跡であったと伝えられているが、その後、1653(承応2)年、第13代・宣如上人の願いによって石川丈山が作庭したもの。
 京都駅から徒歩10分。東本願寺を東に行ったところにあり、国の名勝に指定されている書院式の回遊庭園は、渉成園13景と称されるほど。それぞれの角度から眺める美しさは必見の価値があり、これが市内のド真ん中とは思えないほどの静けさだ。印月池(いんげっち)には鯉が泳ぎ、二つの中島には趣のある桧皮葺唐破風屋根のついた橋が架かり、高台の上には風流な茶室が設けてある。
 さて、写真の楼門・傍花閣(ぼうかかく)は、邸内の持仏堂である園林堂に対する形で建っており、上層は入母屋造り、柿葺起破風の屋根をもち、左右にある屋蓋のついた急な階段が珍しい景観を作っている。週日は人影もまばらで、隠れた古都のスポットかも知れない。
拝観料は不要。志しを賽銭箱に入れるだけでいい。

 開園時間…午前9時〜午後4時。電話…075-371-9182
 京都市下京区下数珠屋町通間之町東入る東玉水町


◆歴史とロマンの勝龍寺城◆
 天守閣が聳える城のイメージにはほど遠い、小さな城郭である。だが小さいなりに美しい堀や石垣、櫓、城門などの景観は、秘められた歴史
とロマンが息づいているよう。
かって『三日天下』と揶揄された悲運の武将・明智光秀が『本能寺の変』で織田信長を討ったあと、急を聞いて駆け戻った豊臣秀吉に呆気なく敗れた『山崎の合戦』の舞台である。もともとこの城は、暦応二(1339)年に細川頼春による築城だが、この合戦で光秀が本陣を構えたのがこの城であった。
 歴史をひも解くと面白い。光秀の三女『玉』が、細川家の長男・忠興に嫁いで新婚生活を送ったのが、この勝龍寺城であった。だが父・光秀の謀反の罪で丹後に幽閉され、苦難の日々を過ごすうちにキリスト教の洗礼を受け『ガラシャ夫人』と呼ばれるようになる。二年後、秀吉の計らいで忠興との復縁を許され、その美貌とともに人々の信頼も厚かったが、やがて関ヶ原の戦いで石田三成の人質になるのを拒み、自害という悲劇的な最後を遂げたことでも有名。
 現在は長岡京市の『市民の憩いの場』となっているが、美しい日本庭園には清らかなせせらぎが流れ、樹木の中に忠興と玉の仲むつまじい像が建っている。館内には城跡からの出土品なども展示されているが、鉄砲の時代に対応した先進技術で築城されていることから、日本の城郭史上でも貴重な城とされている。

 交通…JR長岡京駅下車、南東へ徒歩10分。
 開館…午前9時〜午後6時。 火曜日休園。 入場無料。
 問合せは075-952-1146



◆京都の街に高瀬船◆
歓楽街・木屋町に沿って流れる高瀬川。だが三条あたりから北の二条付近は、川のせせらぎと共に老舗の料理屋が並ぶ京情緒豊かな通りである。その起点となる木屋町二条に『一之船入』という標札があり、奥深い入り江のかかりに、荷物を積んだ一艘の船が浮かんでいる。ちょうど日銀京都支店や『京都ホテル大倉』の裏側に当たり、すぐ隣にはノーベル賞に輝いた田中さんの勤める島津製作所記念館が建っている。
 この高瀬川は慶長16年(1641)ごろ、角倉了以が京の中心部に物資を運び入れるために開いた運河で、ここが高瀬船の船溜まりとなっていた所だという。すぐ東を流れる鴨川の水を取り入れ、ここを起点に十条までの間、当時は百十数艘の船が上り下りしていたというから驚きである。
 またこのあたりは『木屋町』という町名の由来となった材木屋が建ち並んで大変な賑わいを見せていたが、明治以降、船運の目的を失ってからは両岸の柳と昔のままのせせらぎが、京の情緒の大きな要素となっている。

◆街の中に水車が回る◆
 こんな街なかに水車が…?不思議な光景に見とれてしまった。ゴットン、ゴットン、きらきらと陽光を跳ね、びっしりと青苔のついた水車がゆったりとしたテンポで回っている。通りには車の通行も多いが、ここだけの風景を見ていると、昔懐かしい日本の古里が浮かんで来る。
 ここは京都の老舗・山中油店の店先である。江戸時代後期に創業、家々の行燈や寺の灯明の油の専門店として200年近くの歴史を守っている。
 このあたりの地名『出水』は、昔から湧き水の豊富な所から名付けられたというが、先代社長がなんとかこの名水を利用したいものだと、庭と店先に水車を作ったとのこと。軒下を流れる清らかな水路には大きな錦鯉が泳ぎ、しばし街の喧噪を忘れさせてくれる。
 場所…上京区下立売通智恵光院西入る 市バス…丸太町智恵光院下車

◆ポストのある町屋風景◆
 『京の街をのんびり、ぶらり』と歩いていて見つけた変わった町屋風の会社である。丹後ちりめんを扱う平井産業株式会社で、従来、格子窓であった部分を大正ロマン風にしようとステンドグラスにしたという。玄関前の暖簾は細い竹をそのまま編んだもの。カラカラと鳴るのが古めかしくて面白い。
 そして店先の脇に立っている赤いポストも『オヤッ?』という感じである。高さ135センチ、直径40センチ、鋳鉄製の『郵便差出箱一号丸型』というなんともお固い名称だが、昭和24年、全国に普及したもので、京都で最初に設置されたポストだとか。どうしても欲しかったと言う社長はさらに、京都独特の中庭にも灯籠の代わりにポストを置いたという懲りよう。またこの建物は平成11年、歴史的意匠建造物に指定されている。
 場所…中京区新町三条上る(烏丸三条を西へ)

◆日本でただ一軒、金平糖の店◆
 『こんぺいとう』…昔を知る人には懐かしい呼び名だが、それを作り続けている日本でただ一軒の専門店が『緑寿庵・清水』である。京都大学のある百万辺交差点から西へ、一筋目を下がった(南へ)ところにある。
 そもそも金平糖は1546年、ポルトガルからもたらされた異国の品の一つで、なかでもひときわ美しく人々の目を引いたという。当時は大変珍しく貴重な品として製造法などは秘密とされていたが、織田信長が宣教師から教えられ、長崎から京都、江戸へと伝わったという。
 店は京都に相応しい町屋風の建物に、もえぎ色の暖簾が揺れていた。写真を撮っている間にも次々と若者たちが入って行く。珍しいお菓子を求めて地方からの観光客も多いとか。引き出物やお土産に高価な極上品も喜ばれるが、桃やミカン、イチゴなどの果物から濃茶やコーヒー、紅茶、サイダーなどの風味を生かした十数種の小袋(504円)が人気の的。その製造過程も見学出来るというから、問い合わせてみるといい。
 場所…左京区吉田泉殿町 市バス…百万辺下車 電話…075-771-0755

◆時代祭の出発前(京都御所にて)◆
 京都の三大祭の一つ時代祭行列は、秋晴れの10月22日正午、京都御所を出発して烏丸通りから御池通り、三条通りを経て平安神宮までの都大路に、華やかな歴史絵巻の一大ページェントを展開する。
 先頭は明治維新の勤王隊・山国鼓笛隊の勇壮な行列から始まり、江戸、安土桃山、室町、鎌倉、藤原と遡って平安時代まで、その時代の風俗をまとった2000人の行列と、沿道を埋め尽くす内外の観光客で盛り上がるまさに京都ならではの祭である。
 その模様は広くテレビや京都案内などで紹介されているが、ここでは余り知ることのない京都御所出発前のスナップを収めてみた。広い御苑の芝生で弁当を食べ腹ごしらえをする出演者たち、十二単(ひとえ)の着付けや化粧を治すきらびやかな婦人たち、家族と記念写真に収まる鎧兜の武将たち。それを取り巻くカメラマンの群れ。そして主役を乗せる馬たちのいななき。晴れの舞台を前に興奮が次第に高まって来る。こんな場面に遭遇するのも『京の町をのんびり、ぶらり』の収穫である。

◆京都駅のシンボル京都タワー◆
 JR京都駅に降り立った観光客がまず驚くのは、駅前のビルの上に立つ高さ131メートルの京都タワーだろう。昭和39年の完成時には、その真っ白な円筒形の斬新なデザインに『古都のイメージに相応しくないのでは?』との声や『イヤ、さすがに宗教のメッカ、蝋燭を形取ったものか』などと賛否両論が飛びかったものだが、今ではようやく古典とモダンの調和も馴染んで、京都のシンボル的存在となっている。
 ともあれ最上階の展望室に昇ってみた(展望券770円)。100メートルの高さからの景観は素晴らしいの一語につきる。真下に見える東本願寺。京都駅から真っ直ぐ北に延びる烏丸通りを中心に、碁盤の目のような近代都市が明るい陽光に輝いている。ほぼ真ん中の緑の一画は京都御所か。はるか彼方の比叡山から続く緑の東山もひときわ美しく、三十三間堂の長い屋根、重厚な国立博物館、清水寺や八坂の塔が望見出来る。まるで空中散策の気分である。また、夜の照明で浮かび上る白いタワーは、幻想的な古都の風物詩であろう。 

◆東山にそびえる霊山観音◆
 京都タワーの展望室から市内を一望した。右手に見える緑の東山のあたり、八坂・五重の塔が古い蒔絵のように浮かび、その奥にひときわ大きく白い全貌を見せているのが、霊山観音(りょうぜん)である。
 早速市バスに乗り東山清水道で降り、八坂の塔の横から高台寺へ続く坂道を上って行くと、木立の間にヌーッと頭を出している光景に驚いた。近くで見るとさすがに大きい。正面に回り全身像を仰ぐ。高さ24メートル、顔の長さは6メートルというからまさにジャンボ観音様である。
 これはさきの大戦で亡くなった全国250万英霊と戦争犠牲者の霊を奉安して、香華の絶えることはないと説明されたが、余りにも柔和な尊顔に魅せられてしまった。
 すぐ隣に豊臣秀吉ゆかりの高台寺や『ねねの道』、清水産寧坂など、古都の名所旧跡などがある。
 交通…東山清水道下車、徒歩10〜15分。

◆恋のかなう公衆電話◆
 哲学の道の真ん中あたり、桜橋という小さな石橋のほとりに建つ『よーじや』(和風の庭園で京料理や喫茶が楽しめる)の屋根に、小さな翁(おきな)と媼(おうな)の像が立っていて、その下に和風の電話ボックスがある。よほど注意しないと見落としてしまいそうなアートだが、この電話ボックスが今、若者たちの間で大変な評判。テレビか本に紹介されたのか、若い人たちが楽しそうに寄って行く。
 ボックスの扉に『桜橋で出逢った二人が、幸せになれますように』と書いてあるが、仲むつましい翁と媼にならって、この電話から恋しい相手に電話すると必ず、恋が成就するというのが人気の的らしい。
 しばらく見ているうちに旅の女性や恋人同士がボックスに入って行く。携帯電話の世の中に、なんとも微笑ましい光景である。
交通…市バス銀閣寺道下車、哲学の道を南へ。あるいは市バス岡崎天王町下車、哲学の道を北へ。


◆ケヤキとのクスノキの道(植物園)◆
 植物園前のケヤキの道に、秋の日射しが暖かい。足下の枯葉が小さな音をたてて舞って行く。だが、入り口を入ってすぐ右手に続くクスノキの並木は、満天下秋だというのに深い緑と静寂に包まれていた。
 この道はいつか来た道。懐かしい想い出が甦る。学生時代、ワイワイはしゃぎながら夢を語り合い、大人になって初めて、愛する人と手を繋ぎ合ったのも…。そうだ、恋に破れた日、ベソをかきながら一人歩いたのも、この道であった。
 振り向いた向こうに、老夫婦がゆっくりと歩いて行く。共に歩んだ人生を愛おしむような後ろ姿が、ファインダーの中で絵になった。人生もまた前ばかり見ないで、時々振り返って見るといい。違ったアングルに驚きと喜びがあるはずだ。
 短い秋の日に、はや木々の影が長い。府立植物園は訪れる人それぞれの想い出を刻んで、開園80周年である。
 交通…市バス植物園前。


◆街の中のオアシス◆
  京都御所の東、梨木神社の北側にある『T's Garden』…店の前は御苑の石垣沿いの一方通行で、時々車が通るが人影はほとんどない。
もともとこの店は大きな邸の和風庭園にテラス風の洒落た建物を増設したもので、美しい芝生や邸内を流れる小川、秋を彩るカエデなど、ここが都会のど真ん中とは思えないほど静かな一画である。
 降り注ぐ陽の光と御所の樹々に鳴る風の音を聞きながら、日替わりランチを食べ、香り高いコーヒーを楽しむひととき。まさに都会の中のオアシスである。
 庭内にはチョコレートや輸入食品、雑貨などの店。洋服、カバン、アクセサリー。オリジナルシューズブランドなど、お洒落な四店舗が並んでいるのも楽しい雰囲気である。木曜日定休(祝日営業) 駐車場あり。
 交通…市バス・府立病院前下車、徒歩五分。
京都御所東、石薬師御門より徒歩一分。


◆自転車タクシーと人力車◆
 《ドイツで開発された自転車タクシー》都会の環境に優しい新しい交通手段として京都の中心街(…北は御池通りから南・四条通りまで。東は河原町通りから西・烏丸通り)までのエリア内を走っている。料金は大人300円、子供200円。基地は新風館(烏丸三条上る)内にあるが、従来のタクシーと同様、どこでも手を上げれば停まってくれる。迎車の場合はフリーダイヤル0800-500-0101まで。
 スマートな車体に道行く人も振り返る。商社や商店、記念館や町家の並ぶ碁盤の道に、ゆっくりとした速度だが乗り心地は満点。『しんどいでしょう?』と聞いたら『イヤ、それほどでもない。半分電動式になっているので女性の運転手もいますよ』と。12月〜3月までは休業。

 《古都の風物詩・人力車に乗って…》嵐山・嵯峨野の古刹をめぐる竹の道に、銀閣寺から永観堂、南禅寺、平安神宮の花の道に、また円山公園から清水坂に続く『ねねの道』など、京情緒溢れるコースを走る人力車は、今や観光客の人気の的。シーズン中はフル回転だとか。料金は大人2000円。二人だと3000円。
 平安神宮で挙式したばかりの新郎新婦が、カメラの放列を浴びながら恥ずかしそうに揺れて行く。大きな車輪がキラキラと輝き、なんとも微笑ましい風景だが、よく肥えたご婦人の二人乗りには、懸命に引っぱる若い車夫さんがいささか可哀そう。だが、足腰に自信のある若者たちは付近の観光案内もバッチリとか。



◆牛若丸誕生の地◆
 NHKの大河ドラマ…2004年の『新撰組』に続いて05年は『義経』の放映で、京都ゆかりの地が今、全国的な脚光を浴びている。だが、その牛若丸生誕の地は、京都人といえども余り知る人は少ない。
 京都市街の北部、北山通りと東船岡通りの交差点を南へ、一筋目を西に行った畑の中に、その碑は立っていた。『なぜ、こんなところに?』と思うが、畑の所有者・上野新三郎氏の先祖が、当時京都の町で起こった平治の乱の際、義経の母であった常磐御前をかくまい、ここで牛若丸を生んだということである。
 この碑のうしろにある見事な松の下には、牛若丸が産湯を使ったとされる井戸と、胎盤などを埋めたとされる『牛若丸胞衣塚』の碑が残っている。これまではひっそりとした住宅地であったが、大河ドラマ『義経』の影響でボツボツと訪れる人も多いとか。近くの光念寺や常徳寺には、常磐御前が安産を祈念したといわれる『常磐地蔵』が伝わっている。
 京都市北区紫竹牛若町
 交通…市バス『常徳寺前』下車。徒歩3分。


◆小鳥たちの楽園・桂坂野鳥遊園◆
 新興住宅街が山裾まで押し寄せた桂坂…ここに、学者や専門家のアドバイスを受け、野鳥の住みよい環境作りに取り組んで出来た「桂坂野鳥遊園」がある。
 都会のすぐ傍にありながら、この辺りの自然環境は実に素晴らしい。
これまで約100種類の野鳥の生息が確認されており、83.000坪の敷地には、美しい池を中心に水草の群落、湿地や砂場、餌場などがあり、野鳥とともに水芭蕉、カキツバタ、キキョウなど四季折々の草木も楽しめる。池の端の「観鳥楼」には望遠鏡や双眼鏡が備えつけてあり、目の前に見る野鳥たちの遊びに、目を見張るひと時である。
 さらに「鳥と遊ぶ道」と名づけられたハイキングコースは、裏山を巡る三つのコース(全行程は約2.8キロ。およそ1時間30分)からなり、野鳥のさえずりを聞きながらのバードウオッチングが楽しめる。また、ホタルが生息する小川もあり、年々訪れる人も多くなったが、まだまだ知る人は少ない。
 その他、「ものづくり体験舘」が平成17年に併設され、自然観察や自然の素材を生かしたものづくりを体験することが出来る。申し込み、問い合わせは…電話075-332-4610
 管理…京都市西京区大枝北沓掛町1丁目3-1 電話075-333-4651
 交通…阪急桂駅西口より 市バス西5、西6系統。京都交通バス「桂坂    中央」行き「桂坂小学校前」下車。
JR向町駅より ヤサカバス「桂坂中央」行き「桂坂小学校前」
自家用車は京都市内より国道9号線を西へ。「国道沓掛口」信号を右折し、道なりに直進。
 入園料…無料 休園…月・火曜日、祝日


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