| 京文化の粋・古代友禅苑 |
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| 昭和51年、古代友禅株式会社が京友禅の美と伝統に親しんでもらおうと設立したもので、一階は『友禅美術館』と『レストラン京の四季』、二階は京友禅、京小紋の着物を堪能出来る『友禅と小紋で彩る京の四季』、三階は友禅染の工程や道具類を見学することが出来る。 友禅とは、約300年前の元禄時代に宮崎友禅斎が始めたもので、その時代から江戸、明治にかけて染め上げた作品100点以上が展示されている。華やかな中に漂う優雅さは日本を代表する民族衣装であり、世界に誇る伝統工芸だが、改めて日本人が生み出した勝れた感性と技術の高さに感動する。 特に『白地垣に梅文字入り紋繍小袖』(江戸中期)や、『紅地牡丹模様紋繍小袖』(江戸前期)など、その絵模様の大らかさと染めの美しさは人々を魅了して止まない。これらは約10年の歳月をかけて復元したというが、ちなみに時価を聞いてみたら『値はつけられないが、恐らくウン千万円はするでしよう』と言われ、バカな質問をしたものだと思う。 苑内にあるレストランの四方の壁も見どころ。縦2メートル、横5〜6メートルの手描き友禅で染められた京の四季の美人画など、華やかな雰囲気の中で『円山御膳』や『四季遊膳』などの懐石料理が楽しめる。 …友禅染で飾られた友禅屋敷… 隣接する町家風建築の友禅屋敷は必見。これは近藤彩人(さいと)館長の居宅であり原則は非公開だが、頼むと見学も可能。中に入って驚いた。贅をつくした友禅染を襖や壁いっぱいに貼りつけた扇の間(投扇をモチーフ)、中の間(季節の移り変わりを表現)、奥の間(衣裳部屋をモチーフ)の豪華絢爛さは日本でもここだけと言われ、しばし言葉を失うほどの見事さだ。 友禅の美に囲まれた奥の間に座し、香り高い抹茶を頂く。落ち着いた日本庭園との調和もまた見事。まさに『古都の風趣ここにあり』と言うべきか。なんとも贅沢なひと時であった。 京都市下京区高辻通猪熊西入る 電話075-823-0500 年中無休 午前9時〜午後5時まで 入苑料500円 交通…阪急四条大宮駅から徒歩5分 |
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| 何必(かひつ)館・京都現代美術館 |
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| 『学問でも芸術でも、人は定説にしばられ自由を失ってしまう。定説を「何ぞ 必ずしも」と疑う自由な精神を持ち続けたいという願いから「何必館」と名づけました』館長・梶川芳友氏の言葉通り、これまでの常識や模倣の壁を打ち破った作家たちの作品を集めている。 同館の柱である村上華岳、山口薫、北大路魯山人を中心に近代、現代の絵画、工芸、写真、書などが鑑賞出来るが、特に大正から昭和初期にかけて活躍した日本画家・村上華岳のコレクションは質量ともに日本有数。ほかに速水御舟、小林古径、入江波光、坂本繁二郎、須田国太郎、鳥海青児などの作品も所蔵している。 〔村上華岳〕…近代日本美術を代表する画家。不思議な美を蔵している華岳の描線には、独特の感情と無限の精神力がある。『制作は密室の祈りなり』と言った言葉には、芸術の深淵を垣間見た恐ろしさと厳しさを感じる。中でも『太子樹下禅那之図』は、華岳が描いた数多くの仏画の中で最も美しく高貴な作品と言われ毎年、華岳の命日である11月11日前後の一週間、特別展が開かれる。 〔山口薫〕…作品がたたえる豊かな詩情から『詩魂の画家』と評された洋画家。『おぼろ月に輪舞する子供達』は、山口薫の思想を見事に表した絶品。 〔北大路魯山人〕…陶芸をはじめ書、絵画など美術工芸のあらゆる分野で個性溢れる作品を生み出した作家。『つばき鉢』は直径40pもある大鉢で、おおらかな桃山期の気風さえ感じられる傑作。 四条花見小路東にあり、地上五階、地下一階のシャレた建物は、梶川館長の設計によるもの。作品の魅力を最大限生かすために、自然光を採り入れた巧みなライティング。五階の吹き抜けの天井から陽光が差し込む『光庭』など、贅沢なひと時を提供してくれる。 京都市東山区祇園町北側271 電話075-525-1311 開館時間…10:00~17:30 休館日…月曜日、年末年始。 入館料…一般1000円 学生800円 |
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| 書道の観峰美術館 |
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| 『正しく美しい文字』の教育に生涯をかけ、延べ1000万人の子供達から文字の父として尊敬された原田観峰。戦後、前衛書道が隆盛する中、誰でもが美しいと感じる正統書道を掲げ、教育書道の草分けと呼ばれている。 京都の文化拠点である岡崎公園の東、大文字山を背景に380坪の日本庭園に囲まれた純和風建築の館内には、原田観峰(1911〜1995)の書を中心に、氏が40年間にわたって収集した数十万点にのぼる資料を、季節ごとにテーマを変えて展示公開している。 静寂な館内は、まさに漢字の世界にさまよう感。書かれた文字を一つ一つ声に出して読んでみる。忘れていた心の世界が広がり、文字が発する『気』に思わず襟を正す。 『鶴舞千年樹亀遊満歳池』1983年、観峰72歳の作品や『飛躍』など、古典の美を追究した中から生まれた書風は、力強さを内に秘めながらも大らかであり、線に伸びを感じる中庸温雅なものである。 これらの書作品を中心に、観峰が長年にわたって収集した世界の文字、民族文化資料なども並大抵のものではない。中でも中国の『石鼓』複製(1988)原石は中国の戦国・秦時代に刻されたものといわれ、四言詩が刻され、秦王の遊猟の故事を述べている。重さは約800s。そのほか中国書道史上に異彩を放つ鄭道昭などの拓本30数点を、現地の映像をまじえながら観峰の作品と比較展示している。 また平成七年七月、観峰逝去の後、滋賀県東近江市(旧五個荘町)に開館した観峯館は『書道文化と世界を結ぶ博物館』として施設、内容ともに充実した必見の場所である。毎月、なんらかの特別企画展を催しているので問い合わせてみるといい。 京都市左京区岡崎南御所町35 電話075-771-7130 開館時間…10:00〜16:00 入館料600円 休館日…年末年始 交通…市バス5・32・100番『動物園前』下車 徒歩5分 |
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| 樂焼の美・樂美術館 |
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| 一条・戻り橋の近く、静かな町並みを壊さぬよう配慮した二階建ての建物。ここに450年の伝統を誇る樂焼の歴史があり、規模はさほど大きくないが樂茶碗を主にした樂歴代の陶芸作品や、茶道の工芸美術品が展示されている。 そもそも樂焼とは、千利休の『侘茶』の思想を、樂家の祖・長次郎が茶の湯に使う茶碗に表現しようと独特の手法で作陶したのが始まりとか。即ち轆轤を用いず手捏で形を作り、ヘラでひと削りひと削りして形作ったものを特殊な窯で一碗ずつ焼いたもの。 ほの暗い展示室に浮かび上がる作品の数々。初代・長次郎(〜天正17年・1589)から15代・吉左衞門(昭和24年・1949〜)まで、歴代の代表作に食い入るように眺める人々の影。その伝統的な作風は、手捏ならではの素朴さと重量感、そして人々を魅了して止まない迫力に満ちており、茶道や陶芸を志す人々や愛好家にとっては垂涎の美術館である。 またここでは珍しく、『手にふれる樂茶碗鑑賞会』を毎月第一土曜日と日曜日(変更する場合があるので、ぜひ問い合わせを)に開催しているが、これだけの逸品をジカに手にとり、じっくりと鑑賞出来るのは嬉しい。 …侘茶とは… 15世紀後半、奈良の僧であった村田珠光が最初に始め、北向道陣、津田宗達など堺の豪商たちに伝えられ、当時、堺に生まれた千利休が南宗寺で養った禅の精神の上に独自の思想を加えて侘茶の境地を究めと言われている。時の織田信長や豊臣秀吉に重用され、天下一の茶人として名声を博したとことは言うまでもない。 京都市上京区油小路中立売上る 電話075-414-0304 開館…10:00〜16:30(入館は16:00まで) 入館料…700円(展覧会によって異なる) 休館日…月曜日(祝日の場合は開館) 交通…市バス『堀川中立売』下車 徒歩5分 |
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| 陶芸家、河井寛次郎記念館 |
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| 京都の伝統産業である清水焼きの本場『五条坂』。その中に『土と炎の詩人』と言われた陶芸家・河井寛次郎の記念館が残っている。この家は昭和12年(1937)に建てられた住居兼作業場を昭和41年、氏の没後そのまま記念館として昭和48年に開館されたもの。 だが、寛次郎の作品は『清水焼き』とは全く異なったものだという。『それならなぜ、ここに?』そんな疑問に『ここに窯があるから…』と答えたという自由奔放、作陶ひと筋に没頭した寛次郎の人間像を垣間見たような気がした。 東山通り五条を西へ、一筋目を南へ入ったところ、京町家風の格子に棟方志功の書による標札が掛かっている。玄関の引き戸を開けるとこの家の中心的な空間である板の間があり、風情豊かな囲炉裏と分厚い机や椅子、古い建具や掛け時計など、部屋を飾る奇妙な造形の木彫りなどが絶妙に溶け合って不思議な雰囲気を醸し出している。 この空間は当時、接客の場であり作品の展示場であった。珍しいのは居間にせり出した神棚で、上部には屋根が取り付けられてある。こんな意匠を見るのは初めてだが、この前で手を合わせ、作陶に賭けた氏の祈りのようなものを感じさせる。 …作品からほとばしる『気』… 中庭に出ると、奥にひっそりと窯場が残っている。この窯の前で黙々と薪を放り込む氏の姿や、真っ赤な炎の色が浮かんで来るようだ。そこから作品の展示室へ入る。その一つ一つに見入る時、見慣れた陶磁器に比べてどこかが違うと感じたのは私だけではあるまい。造形の妙と、強烈な色彩の中に潜む優しさは、作者のひたむきな魂の表現であろうか。 そして、卓越した感性から生み出された壮大な宇宙感や、見る人の心に訴えようとした何かは、私などには到底分からなかったが、作品が放つ『気』のようなものに圧倒される思いであった。 日本でも稀にみる勝れた陶芸家でありながら、その晩年は木彫作家でもあった。その作品の数は百点に近く、モチーフは手や人物、動物などそのどれもが具象的ではなく、一種奇妙なまでの造形は溢れるような生命観に満ちている。 こうした芸術家の作品と、氏の生の生活空間に触れた喜びを感じながら、心から『訪れてよかった』と思った。 京都市東山区五条坂鐘鋳町 569 電話 075-561-3585 交通…市バス『東山五条』下車、徒歩5分 |
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| 個人蒐集では日本屈指・細見美術館 |
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| 昭和の実業家、故・細見良(初代・古香庵)に始まる細見家三代のコレクションは、日本でも屈指と言われている。こんな美術館を見逃す訳にはいかない。 平安神宮や京都市美術館、国立近代美術館、京都会館、勧業観など、京都の文化ゾーンである岡崎公園の西端に、平成10年開館。日本の美術工芸のほとんどの分野、時代を網羅した貴重な美術品を展示している。中でも平安、鎌倉時代の仏教や神道美術、室町水墨、根来や茶の湯釜、桃山の茶陶や七宝工芸、そして琳派や若沖などの江戸時代絵画など全時代にわたるコレクション1000余点には『よくぞ蒐集されたもの!』と驚きのほかない。 美術誌などによると、細見コレクションの原点となっているのは、『数奇(風流を好む)の心』という。数多い展示品のうち重要文化財は30数点。中でも南北朝時代の『金銅春日神麓御正体』や、桃山時代の『豊公吉野花見図屏風』、室町時代の『芦屋霰地楓鹿頭真形釜』などの逸品は、鑑賞者を魅了して止まない。 …ユニークな吹き抜けの建物… 地上3階、地下2階の建物は吹き抜けになっており、3階の数寄屋造りの古香庵では各季の節句や観桜など公募の茶会も開催され、茶の湯体験や本格的な茶会や茶事も貸席として利用できる。 その他、館内にはアートショップや美術工芸品に関する書籍、オリジナルグッズを初めとした和のお洒落雑貨も販売。地下庭園の半オープンスタイルのカフェは、ウェディングやパーティなどにも利用できる憩いの場となっている。これらのデザインは気鋭の現代建築家・大江匡による京都初の作品とか。時が経てばまた、訪れたくなる貴重な美術品である。 京都市左京区岡崎最勝寺町 電話 075-752-5555 交通…市バス『東山二条』か『京都会館前』『美術館前』下車。 入場料…一般 700円 学生 500円。 休館日 月曜日。 |
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| 京七宝の粋・並河靖之七宝記念館 |
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| 開館したのが2003年というから、まだ知る人は少ない。平安神宮の赤い大鳥居を望む三条神宮道を北へ、一筋目を西に入ったところに明治、大正時代に活躍した京七宝の作家・並河靖之(1845〜1927)の旧邸があり、その遺品30点が展示されている。 艶やかな花鳥や叙情的な風景を描いた作品の繊細な色彩と、精緻を極めた植線(モチーフの輪郭を形作る金属線)の作品は、訪れる人を魅了して止まない。さらに、取り付けられているルーペを通して浮かび上がる絵模様は、『これが人の手で作られたものか!』と驚くほどの美しさ。遺作が少ないのは欧米で絶大な人気を博したために、かなりの作品が散逸したのではないか。 靖之が追求した有線七宝とは、金属の胎(ボディ)に文様の輪郭線として金銀の線をテープ状に貼り付け(植線)、その線と線の間に釉薬(うわぐすり)を差して焼き上げ、研磨を繰り返す技法で造り上げたもの。厚みのある多様な色彩と、深く透き通った艶が特徴だが、靖之はさらに、難しいとされた黒色透明釉や、筆のタッチのような繊細な植線使いも極めた希有の芸術家といえよう。 …心癒す建物と庭園… 建物は明治27年(1894)の竣工。京町家特有の表屋に御殿造りの主家が続く珍しい構造で、国の登録有形文化財に指定されている。室内は当時、外国の貴賓の訪問が多かったことから約六尺(1.8m)の、当時としては高い鴨居と輸入品のガラス障子がはめられ、珍しい和風の風趣に富んでいる。 庭園(京都市指定名勝)は七代目・小川治兵衛の作。池は七宝の研磨のために引いたという琵琶湖の水。流水や景石、灯籠など躍動感に富む斬新な構造も見どころ。 京七宝の美に触れ、美しい庭園にくつろぐ至福のひと時であった。 京都市東山区三条通北裏白川筋東入る堀池町 電話 075-752-3277 交通…市バス『神宮道』下車 徒歩5分。 開館時間…午前10時〜午後4時30分。入館料…大人 600円。 |
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| 発明の殿堂・島津創業記念資料館 |
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| 高瀬川のせせらぎも優しい木屋町二条に、ひときわ目をひく白壁と格子窓の建物が建っている。ここが日本の近代科学発祥の地であり、明治8年(1875)島津製作所の初代島津源蔵、二代目の同じく源蔵(1894)の遺徳を偲ぶ記念資料館である。 明治10年、日本で初めての有人水素気球の飛揚に成功した初代・源蔵は、京都が生んだ発明王として一躍、その名を全国に知らしめたのであった。その跡を継いだ二代目・源蔵はさらに、その才能を開花させ弱冠15才で『ウィムシャースト感応起電気』を発明、全国に『島津の電気』と謳われるまでになった。 その後、レントゲン博士がX線を発見した翌年の1896年(明治29年)、日本で初期のX線写真の撮影に成功。これが契機となり医療用X線装置や蓄電池の製造など画期的な製品を数多く産み出し、1930年(昭和5年)には日本の十大発明家にも選ばれている。 館内には約600点の発明品が並んでいる。国産最古の顕微鏡やパイプオルガン、発電機や幻灯機など『こんなものまでが?』と驚くほど。機械好きな見学者にはたまらない魅力であろう。その他、日本初の工業用炭酸ガス記録計、ガラス分光写真器、電子顕微鏡、工業用X線装置、汎用ガスクロマトグラフなど。だが、なんと言っても代表作は世界初のX線テレビジョン装置である。初期のX線写真に成功した大型医療用装置は、どことなく風格すら感じられ、現代医学の急速な進歩とその原点である発明の偉大さに、改めて敬意を払う思いである。 …ノーベル賞の田中耕一さん… そして2002年、一躍その名を轟かせたのが、ノーベル賞受賞の田中耕一さん(ソフトレーダー脱離イオン化法の技術)であった。島津製作所の一サラリーマンが研究チームの一員として没頭した頭脳と、素朴で謙虚な人となりに日本中が賞賛したのも記憶に新しい。館内にはそのコーナーも設置されている。 京都市中京区木屋町二条南 電話 075-255-0908 交通…市バス『市役所前』下車徒歩2分。地下鉄『市役所前』同2分。 休館日…水曜日。 大人300円。高・中学生200円。 |
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